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ピロリ菌(Helicobacter pylori)とは、胃内に感染・棲息する、ラセン状のグラム陰性桿菌です。
この菌は、食品に含まれる尿素を分解して、胃粘膜に有害なアンモニアを産生し、胃粘膜表面に接着して、VacA毒素を粘膜細胞内に注入して粘膜障害を起こさせます。
ピロリ菌が胃内にいると、慢性胃炎、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の発生や再燃・再発の最大の要因となります。
さらには、ピロリ菌が胃内に持続感染していると、絶えず胃粘膜内に炎症(胃炎)が生じることになり、胃がんの引き金にもなると考えられています。
胃がんとピロリ菌は密接に関連しているといわれています。胃がんの99%はピロリ菌感染がベースにあります。
ピロリ菌に感染している人は、感染していない人に比べると、20~30倍も胃がんになる確率が高いとされています。
塩分の過剰摂取といった食生活や遺伝などによる、ピロリ菌に感染していない人の胃がんも0.5~1%は残るものの、ごくまれといっていいでしょう。
現在、日本は胃がんの最多発国といわれていますが、今後、感染率の低下が進めば、並行して胃がんも少なくなっていくと思います。
ピロリ菌の存在診断は、胃内視鏡検査時の組織診、組織培養診や迅速ウレアーゼ試験でも可能ですが、最近では尿や糞便内のピロリ抗体測定でも可能になっています。しかし、除菌後の判定には、尿素呼気試験が最適と考えられています。
※尿素呼気試験とは
早期空腹時に、人体に無害なアイソトープCを含んだ尿素を服用して頂きます。
その際、薬剤服用前と服用20分後の呼気を集め、アイソトープCの量を測定します。
ピロリ菌が存在すると、尿素を分解するので、呼気にアイソトープCが出てくる仕掛けです。
この診断法がもっとも信頼性があると考えられています。
除菌は、基本は抗生物質(抗菌薬)と胃酸を抑える薬を7日間内服します。
多い副作用として、下痢(血便)、味覚異常、皮疹などがあります。その他にも、副作用はありますが、副作用の種類によっては治療を継続できないこともあります。
一般的には成功率は75%と言われています。うまくいかなかったときは薬の種類を変えて再度、除菌療法を試みます。
これまでの1次除菌の成功率は75%程度でした。しかし、除菌治療の3剤の内のひとつであるプロトンポンプインヒビター(PPI)にタケキャブを使えるようになって、除菌成功率は90%以上に上昇しました。